サイバスロンの競技会が迫る10月6日(木)、サイバスロンシンポジウムが開催された。世界から320名を超える(※1)アカデミアの研究者と新しい事業を模索する企業関係者が集まり、会場は競技会を前に熱気に包まれた。壇上のスピーカーの発表やポスター会場の発表から、装着する機械までも含めて人間の一部と捉えるような、「人間と機械の融合」を目指した新たな領域の競技会がサイバスロンなのだと感じさせてくれた。
日本からも参加者が集まる
気温10℃台前半の中、最寄のクローテンの駅から5分ほど歩くとシンポジウム会場のカンファレンスセンターに到着する。入口にはスポンサー企業のロゴがずらりと並び、海外企業に混ざって日本企業では読売新聞社がメディアパートナーに名を連ねていた。日本からはメーカーのエンジニアも来場しており、会場内で日本人に会うことが多かった。


サイバスロンの最先端が集まった9時間半
シンポジウムは朝9時から夕方18時半まで行なわれ、関連分野の先端をゆく研究者によるキーノートスピーチ(6名)とアブストラクト優秀者によるショートトーク(8名)の枠が4部、最後にパネルディスカッションと、非常に中身がつまっていた(※2)。さらに、講演の休憩時間に行なわれるポスターセッションや、飲み物と軽食をとりながらのフリーディスカッションなど、朝から晩までサイバスロン尽くめの一日を経験することができた。電動義手、電動義足、電動外骨格、FES、BMI、電動車イスとサイバスロンに関連する話題にどっぷりと浸り、この分野の根底には冒頭でふれた「人間と機械の融合」という考えが流れているという認識を強くした。





ものづくりの現場が活躍する可能性
義手や義足は使い勝手まで考えたデザイン性も含めて洗練されつつあるが、1体あたりのコストとの戦いはこれからが本番という印象だ。シンプルでコストは抑えられるが、しなやかな動きは苦手なバネで駆動する装置か、コストはかかるがしなやかな動きができるアクチュエーターで駆動する装置か、方針としては大きく二つにわかれるそうだ。そんな議論があることを休憩時間に日本のエンジニアから聞くことができた。駆動系や、筐体などは日本のものづくりの基盤が活躍する要素が多くありそうだ。また、外骨格(会場で話していると、エクソスケルトンと呼ぶ人が多かった。通例のようである)や電動車イスでも、ものづくりの要素が多く含まれており、例えば日本でサイバスロンが開催されるということになると、町工場も巻き込んだ動きが活発になる可能性を感じた。
本番がどのような展開になるのか、予習を経てさらに楽しみだ。
※1 サイバスロンシンポジウムHP発表(http://www.cybathlon-symposium.ethz.ch)
※2 当日プログラム(http://www.cybathlon-symposium.ethz.ch/programme.html)