株式会社マイクロテック・ニチオン
本田 雅秀 氏
2009年、産業界が主体となり、アカデミア研究の活性化と若手研究者の成長を応援する研究応援プロジェクトの一環として、「リバネス研究費」が始まった。若手研究者の研究環境を改善することを目指したこの活動は50万円という少額ではあるが気持ちのこもった研究費を、述べ120名(2016年1月現在)の若手研究者に提供している。リバネスが独自に始めたこの活動に、最初に仲間として加わってくれた企業(研究応援企業)の一つが株式会社マイクロテック・ニチオンだ。
研究者とともに歩む
マイクロテック・ニチオンは1989年の創業以来、一貫して理化学機器の研究開発を行ってきた。同社のヒット商品であるホモジナイザーには、お世話になったライフサイエンス系の研究者は少なくないであろう。「研究者のニーズに合わせて、一緒にものづくりをしてきました。」と本田氏は話す。研究者の困りごとを解決しながら、少しずつ着実に科学技術の前進を後押ししてきた。そして、若手の研究者を応援するというリバネス研究費の理念に共感し、第2回リバネス研究費でゼータ電位測定装置「ZEECOM ZC–3000」を活用する研究テーマを募集した。
広い分野の研究者に使ってもらう
リバネス研究費に参加した目的は若手研究者を盛り上げる以外にもう一つあった。「それまで化学分野で活用されていた製品ですが、他の分野の研究者にとっても有用なのではないかと思っていました」。広い分野で活用されることが科学の発展に繋がるという考えの下、様々な分野の研究者からの提案を待っていた。そして、京都薬科大学の講師(当時)であった武上茂彦氏(現准教授)を採択した。重合リポソームを利用して微量生体成分の高感度分析を目指す内容で、研究者のアイデアを具体化する支援をしながら同製品の用途が広がるテーマであった。
若手研究者との繋がりを通じて
武上氏とはリバネス研究費の研究期間が終了した後も、製品へのフィードバックや装置に対するニーズを頂くなどの良好な関係が続いている。「研究者と非常に深い関係を築けたのは、リバネス研究費が若手研究者を応援することを目指しているのが、研究者側にも伝わったことが理由だと思います」。
研究者を盛り上げようとして始まった活動は、これからも研究応援企業にもよい人的ネットワークと影響をもたらしていくだろう。(文・坂本真一郎)