[第41回リバネス研究費カイオム賞]採択者インタビュー
【採択者】
中神 由香子 氏(京都大学大学院 医学研究科 脳病態生理学講座 精神医学 学術振興会特別研究員)
【採択テーマ】
統合失調症に特異的な自己抗体の探索
【研究費情報】
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中神 由香子 氏(京都大学大学院 医学研究科 脳病態生理学講座 精神医学 学術振興会特別研究員)
【採択テーマ】
統合失調症に特異的な自己抗体の探索
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京都大学大学院医学研究科の中神氏は、精神科専門医として臨床現場で治療を行う中で、既存の治療薬では症状が改善しない患者を多く目にしてきた。この臨床医としての経験をもとに、統合失調症の病態や治療法に関する研究に取り組んでいる。
統合失調症の病因には依然として解明されていないことが多く、またその根本的治療方法は確立されていない。統合失調症の診断は幻覚・妄想といった患者の症状に基づいて下されており、発症メカニズムが異なる病態をまとめて統合失調症と診断している可能性がある。
本採択テーマにおいて中神氏は、統合失調症の中でも自己免疫の関与が疑われる統合失調症群に着目した。臨床データを元に選抜した患者群の血清サンプルを健常群のサンプルと比較することで、新規の抗神経抗体を探索する。この抗体の機能や病的意義、疾患発症のメカニズムを解明できれば、この抗体を有する統合失調症群に対して、より正確な診断・治療を行える可能性が見込まれる。「将来的には患者一人一人の病因に応じて効果的な治療方法を提示することができるかもしれない」と語る中神氏は、夢の実現に向けて着実に研究を進めていく。
(文・五十嵐 圭介)