ホーム リバネス研究費・高専研究費 第40回超異分野・ヘルスケ...

第40回超異分野・ヘルスケア研究創出賞 採択者「精神疾患の隠れた原因を解明し、患者さんに合わせた治療の実現へ」本山 美久仁さん

381
[第40回リバネス研究費超異分野・ヘルスケア研究創出賞]採択者インタビュー 
【採択者】
本山 美久仁 氏(兵庫医科大学 精神科 神経科学講座)
【採択テーマ】
治療抵抗性うつ病患者のグルテン感受性と食事療法の可能性
【研究費情報】
募集テーマの詳細はこちら

 精神科医である本山氏は、統合失調症やうつ病などの精神疾患に“グルテン感受性”が関わっている可能性に注目している。精神疾患の発症には、遺伝要因と環境要因が複雑に関係すると考えられている。同じ病気でも、患者さんによって薬が効く人もいれば、効果が見られず治療抵抗性という状態に陥る人もいる。患者さんに合わせた適切な治療を行うために、隠れた発症原因を解明することが重要だ。近年、グルテン感受性が精神疾患の発症に関連する可能性が報告されている。グルテンを含む小麦などの食品の摂取に関連して何らかの症状を呈するものの、小麦アレルギーや、グルテンに対する自己免疫疾患であるセリアック病には該当しない症状群だ。

 本山氏は、治療抵抗性を示す患者さんの一部にグルテン感受性が関わる層が存在するとにらみ、臨床研究を通して検証を進めてきた。これまでに、治療抵抗性かつグルテン感受性を示した統合失調症患者1名に、食事療法としてグルテン制限食を連続摂取してもらったところ、約2週間で症状の改善効果を確認している。今後は食事療法の臨床事例を増やして効果を検証するとともに、うつ病とグルテン感受性の関連についても臨床研究を開始予定だ。「精神疾患の患者さんの中に、グルテン感受性が関与する方が一部でもいることが実証されれば、食事療法で改善を図ることが可能になる」と本山氏。精神疾患の新たな治療法の確立を目指し、挑戦を続ける。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください