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第32回𠮷野家賞採択者「音響環境における周波数特徴と嗜好性の関係」松本 結さん

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[第32回リバネス研究費𠮷野家賞]採択者インタビュー 
【採択者】
松本 結 氏(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第七部 研究員)
【採択テーマ】
音響環境における周波数特徴と嗜好性の関係
【研究費情報】
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𠮷野家賞で気づいた研究活用の場

 「音」を題材に研究を進めていた松本氏は、今回の研究費公募をきっかけに、「食」という日常の場へ自らの研究成果を活かせる可能性に気がついた。博士課程ではマウスの音声コミュニケーションの研究に携わり、ヒトの耳に聞こえない超高周波音の鳴き声が行動に与える影響を調べてきた。そのような研究を行う中、ヒトでも超高周波音が行動に影響を与えており、音質評価の向上や認知機能の上昇など、ポジティブな効果(ハイパーソニック・エフェクト)をもつことを知った。「効果をもたらすメカニズムが明らかになれば社会に貢献できる速度が上がる」。そう考えて研究費情報を探すなかで、𠮷野家賞の募集記事を目にし、「食」というフィールドに出会ったのだ。

超高周波音は食において行動や生理状態をどう変えるのか

 松本氏がリバネス研究費𠮷野家賞に申請したテーマは「音響環境における周波数特徴と嗜好性の関係」だ。音がヒトの認知機能や情動に影響を与える事例は知られているため、音響環境によって食への嗜好性が変わることや、同じ料理をより美味しく感じるという効果が得られる可能性は多分にある。松本氏は、様々な周波数の音を提示し、マウスの行動変化を研究する予定だ。生理指標もあわせて解析することで、ハイパーソニック・エフェクトのメカニズムに関する知見を積んでいく。今回のテーマにまさにふさわしいと話す株式会社𠮷野家の河村泰貴社長は「飲食店の価値を高めるという目的に対し、音環境でお客さんに心地よさを提供できる可能性に魅力を感じた」と今後の発展に期待を寄せる。

音響環境で実社会を豊かに

 私たちが暮らす人工環境は、自然環境に比べて超高周波音が極めて少なく、“音が貧しい”そうだ。「音響によって心地よさを増進できる仕組みがわかれば、レストランはもちろん、会議室や寝室、ショッピングや医療現場といった日常の中で汎用的に活用できる。都会は特にストレスフルだともいわれていますが、人々がいい気分で過ごせる環境作りに貢献したいです」と松本氏は意欲を覗かせる。一方、河村社長は「𠮷野家の店舗を使っての研究も奨励したい」と実社会への実装を見据えて協力を惜しまない姿勢だ。𠮷野家と松本氏の想いが重なり、実社会を豊かにする音響環境作りの研究がスタートする。

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